ささおか博之ニュース
愛媛県手話言語の普及及び障がいの特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関する条例が制定されました。
愛媛県手話言語の普及及び障がいの特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関する条例
令和8年4月1日から施行
令和8年2月25日にこの条例は提案されました。
平成25年(2013年 )第334回定例会(第3号12月 4日)の一般質問にて手話言語条例について質問をさせていただきました。以来、13年 何度か議会で取り上げ、ようやく実りました。今、愛媛県下の市町村で「手話言語条例が」制定され、動き始めました。
手話言語の普及及び障がいの特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関し、基本理念を定め、県の責務並びに県民及び事業者の役割について明らかにするとともに、手話言語の普及及び障がいの特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的か つ計画的に推進し、もって障がい者がその意欲と能力に応じて活躍し、全ての県民が障がいの有無、年齢等にかかわらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会の実現に寄与するため、この条例を制定しようとするものである。
平成25年 第334回定例会 12月 4日
笹岡博之議員 一般質問 全文
「手話言語条例について」
手話言語条例について質問をさせていただきます。
10月に全国で初めてとなる手話言語条例が鳥取県において制定されました。これを契機に、全日本ろうあ連盟を中心として、手話言語法の制定を国に求めていく動きも活発化しております。実際、フィンランドの憲法改正やニュージーランドなどが手話言語法を制定しており、世界的な潮流となりつつあります。
先日、鳥取県庁の障がい福祉課を訪ねました。対応してくださった日野課長さんは厚生労働省からの出向で、自身のお父さんが愛媛県の出身ということもあり、私も親近感を持ちながらお話をお伺いしました。
鳥取県では、平成21年より、障害者が地域でともに暮らしていけることを目的に、あいサポート運動というのを始めたそうです。あいサポート運動とは、多様な障害の特性、障害のある方が困っていること、障害のある方への必要な配慮などを理解して、障害のある方に対してちょっとした手助けや配慮を実践することにより、障害のある方が暮らしやすい地域を一緒につくっていこうという運動であります。
その運動が広まっていく中で、今回の手話言語条例の素地ができ上がってきたといいます。条例制定の過程では、ほかの障害との兼ね合いを懸念する声もあったそうですが、この条例をきっかけとして障害者施策全般を進めるよい機会と捉える方向で一致したとのことです。
その結果、10月8日、鳥取県議会において、鳥取県手話言語条例が全会一致で可決・成立したのであります。
その後、条例の中身を具体的に進めるに当たり、手話施策推進協議会を発足し、さまざまな検討がなされていくとのことでありました。
遠隔手話通訳サービスなどもその一例で、タブレット型端末のテレビ電話機能を通じて、手話通訳者が画面越しに聾者と聞こえる人との手話通訳を行い、聾者と聞こえる人がコミュニケーションをとることができるというわけです。例えば、病院の受付で聾者の方が、呼び出しが確認できず待ちぼうけ状態になることが多々あるとのことですが、聾者の方が持つタブレットを通じて担当者との意思疎通ができるなど、日常生活において活用が期待をされております。
それでは、条例の内容を見ていきましょう。
その前文においては、我が国における手話の歴史が簡単に記されております。要約引用しますと、
わが国の手話は、明治時代に始まり、ろう者の間で大切に受け継がれ、発展してきた。ところが、明治13年にイタリアのミラノで開催された国際会議において、ろう教育では読唇と発声訓練を中心とする口話法を教えることが決議された。それを受けて、昭和8年にはろう学校での手話の使用が事実上禁止されるに至った。これにより、ろう者は口話法を押し付けられることになり、ろう者の尊厳は著しく傷付けられてしまった。
その後、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約では、言語には手話その他の非音声言語を含むことが明記され、憲法や法律に手話を規定する国が増えている。また、明治13年の決議も、平成22年にカナダのバンクーバーで開催された国際会議で撤廃されており、ろう者が手話を大切にしているとの認識は広まりつつある。
とあります。
実際、40代から上の聾学校出身の方のお話をお聞きしますと、学校での手話は禁止され、使用すると罰則まであったということであります。口話法による授業は理解できず、今から振り返れば、無駄にエネルギーを浪費したと感じている人も多くおります。
平成23年には障害者基本法が改正され、第3条第3号に「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。」と規定され、我が国で初めて手話の言語性について触れた法律ができました。
そして、本年4月より障害者総合支援法が施行され、特に専門性の高いものを除き、市町村が手話通訳など意思疎通支援者の養成や派遣を行うこととされました。
しかしながら、障害者基本法にようやく「言語(手話を含む。)」との文言は入りましたが、手話を言語として教えたり広めたり、また、手話を言語とする人の生活の権利を具体的に保障する法律はないのであります。
だからこそ、鳥取県手話言語条例で「手話が言語である」と位置づけて、手話を用いる権利の保障や手話の普及などについてまで定めたことは、とても大きな意味を持っていると思うのであります。私たちが関連するイベントなどでも、状況が許す限り手話通訳をお願いするなど、一昔前からは状況が一変しつつあります。
さらに、鳥取県手話言語条例の前文には、
ろう者は、物の名前、抽象的な概念等を手指の動きや表情を使って視覚的に表現する手話を音声の代わりに用いて、思考と意思疎通を行っている。(中略)
わが国は、障害者の権利に関する条約を未だ批准しておらず、手話に対する理解も不十分である。そして、手話を理解する人が少なく、ろう者が情報を入手したり、ろう者以外の者と意思疎通を図ることが容易ではないことが、日常生活、社会生活を送る上での苦労やろう者に対する偏見の原因となっている。(中略)
手話がろう者とろう者以外の者とのかけ橋となり、ろう者の人権が尊重され、ろう者とろう者以外の者が互いを理解し共生する社会を築くため、この条例を制定する。
と続きます。
そして、第1条の条例の目的として、「手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し基本理念を定め、県、市町村、県民及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、手話の普及のための施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。」と、手話が言語であることを明確に規定した上で、手話の普及に及んでいます。
第2条では、「手話は、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が知的で心豊かな社会生活を営むために大切に受け継いできたものであることを理解しなければならない。」と、手話の意義に触れています。
以下、手話の普及についての基本理念、県と市町村の責務、県民の役割、事業者の役割、そして、手話の普及について具体的に記していきます。
お伺いをいたします。
緊急時に手話のできる人が周囲にいるかどうかは、聾者にとって命にかかわる問題です。東日本大震災では、防災無線が聞こえず逃げおくれた方が少なからずいたとのことでありました。
また、本県においては、4年後に控えている国体とともに開催される全国障害者スポーツ大会に向けて、手話通訳者などの人材確保が急務であります。
障害者総合支援法に規定される県が行う地域生活支援事業のうち、手話通訳者や要約筆記者等を養成し、または派遣する事業の現状と今後の取り組みについてお聞かせを願いたいのであります。あわせて、市町の行う手話奉仕員の養成への取り組み状況をお伺いいたします。
本県にも、手話を言語として規定し、普及啓発を図るような条例が必要だと思うのであります。まず、手話を言語として規定することについての御見解をお聞かせください。そして、条例制定についてもあわせてお伺いをいたします。
No.57 神野健一郎保健福祉部長
まず、手話を言語として規定し、普及啓発を図る条例についてでございます。
手話は、聴覚障害者の方々にとって意思を伝達するための重要な手段であり、障害者基本法においても、言語として規定されております。
一方、同法では、意思疎通や情報の取得・利用の手段について選択の機会の確保・拡大を図ることが求められておりまして、手話だけでなく、要約筆記や点字・指点字などについても普及を図っていくことが肝要であると考えているところでございます。
手話を言語として規定し、普及啓発を図る条例は、手話に対する県民意識の向上を図る上で一定の効果が期待できると考えておりますが、その制定の必要性については、手話以外の意思疎通手段についても配慮する必要があることや、障害者総合支援法の施行後3年を目途に行われることとされている意思疎通支援のあり方の見直しを踏まえて検討する必要があると考えておりまして、当面、国の動向や他県の取り組み状況等を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
なお、県としては、市町と連携し、手話通訳者等の養成や派遣に積極的に取り組んでいるところでありまして、引き続き聴覚障害者の方々の意思疎通支援の充実に努めてまいりたいと考えております。